耳鼻喉疾病&検査と治療について

疾患/病気

耳と鼻と咽頭疾患

例えば一般的な耳鼻咽喉問題:

一般的な耳鼻咽喉の問題とは

  • 耳だれや聴覚障害
  • 急性/慢性 副鼻腔炎(蓄膿症)
  • 鼻ポリープ
  • アレルギー性鼻炎
  • 咽喉痛
  • 浮動性めまい/めまいなど

特別な音声障害とは:

  • 声帯ヒダ麻痺/不全麻痺(声帯ヒダ虚弱)
  • 良性声帯の病変:結節、ポリープ、嚢胞、乳頭腫症、肉芽種
  • 喉頭癌や前癌性形成異常
  • 嗄声(しわがれ声)や 発声障害
  • 睡眠時の乱れた呼吸のいびきや閉塞性無呼吸症候群

睡眠呼吸障害:

睡眠呼吸障害はいびきや閉塞性睡眠や睡眠時無呼吸が原因で起こります。

  • Rinosinusitis 副鼻腔炎
  • Perforated eardrum 鼓膜穿孔
  • Vocal fold nodule  声帯結節
  • Vocal fold polyp   声帯ポリープ


耳漏(耳だれ)が止まらない

子供の耳漏はほとんど風邪をひいた後合併症を起こし中耳炎を引き起こします。

中耳炎の症状は耳痛と発熱を生じ、進行してひどくなると中耳に液体がたまりさらに鼓膜が穿孔して耳漏が出ます。中耳炎は4ヶ月から5歳にかかりやすい。

中耳炎の治療は抗生剤内服し鼓膜切開をして中に詰まった浸出液を排出します。又は鼓膜切開し換気チューブを鼓膜に入れると中耳の圧力を還元できます 。

大人の耳漏(耳だれ)とは

大人の耳漏は外耳道炎か中耳炎が大部分です。

1)外耳炎とは

一般的に言えばほとんどの外耳炎の原因は綿棒や耳かきを正しくつがわず外耳道を傷つけてしまって起こります。治療は抗生物質の点耳薬と外耳道は常に乾燥した状態を保つ必要があります。

2)中耳炎

大人の中耳炎のほとんどは鼓膜穿孔が原因で起こります。症状は耳漏、聴覚障害、めまい、耳鳴など。危険症例では髄膜炎や顔面神経麻痺などを引き起こします。

中耳炎を放っておくと真珠性中耳炎に進行し周囲の骨組織を破壊しながら大きくなり頭蓋や顔面神経に合併を起こし放っておくと死にいたることもあります。

中耳炎の治療法は抗生物質内服、点耳薬、鼓膜切開術。

真珠性中耳炎の場合は乳突削開術が必要になることもあります。

聴覚障害

年をとると次第に難聴が進行して老人性難聴になります。耳鼻科医が考える原因は先天性異常や絶え間ない騒音に囲まれる環境の中に長時間過ごしたりする。その他の原因は耳垢が外耳道をふさいでしまったり、鼓膜裂孔や中耳に溜まった液体が長期間排出されないでいる状態が続いたり、急性感音難聴など。幼児の聴覚障害は言語発達に影響を及ぼすので、両親が早く気づいて医師に相談しましょう。

正常な鼓膜

通気チューブを鼓膜にはめて液体を抜く

鼓膜穿孔

真珠性中耳炎

耳垢が詰まった


急性副鼻腔炎/慢性副鼻腔炎

副鼻腔炎

副鼻腔炎は鼻風邪から起こり、 炎症や細菌が鼻腔から洞(副鼻腔)に感染して起こります。急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎の2つのタイプに分けられます。

i) 急性副鼻腔炎

アレルギー性鼻炎や鼻ポリープ持っている患者がウイルス感染すると鼻腔が萎縮し粘液や分泌物が閉じ込められます。感染が起こると分泌物が排泄されず、副鼻腔の中に粘液がたまり汚染されます。さらに上歯や歯の周りの感染と鼻炎を同時に発症すると急性副鼻腔炎を引き起こします。

急性副鼻腔炎の症状

  • 顔面痛・眼痛
  • 鼻づまり
  • 鼻水が鼻から喉に落ちる(後鼻漏)
  • 鼻水はサラサラの透明から次第にどろっとした黄色や緑色の鼻水に変わってきます

ii)慢性副鼻腔炎

症状は急性副鼻腔と同じですが、症状が4週間以上続いた場合は慢性副鼻腔炎と診断されます。鼻から副鼻腔にある感染した粘液(鼻水)を綺麗にする必要があります。抗生剤内服しながら内視鏡的に光ファイバー鼻咽頭鏡で副鼻腔を洗浄します。

急性副鼻腔炎


鼻ポリープ

今現在鼻ポリープの確かな原因はわかっていませんが鼻の粘膜の炎症が長期間続くことで発症すると考えられていて、喫煙者や小児喘息の人に多く発症します。。鼻ポリープ症状は呼吸しにくい、鼻水、嗅覚障害、慢性副鼻腔炎が生じることがあります。いびき、頭痛や鼻の変形なども引き起こすこともある。片側だけに出来るポリープは乳頭腫の可能性もあるので診断名をつけるため組織生検を行います。

ポリープが小さく検査の結果良性であればステロイドの鼻スプレーを使って症状をコントロールしますが、鼻ポリープがかなり大きくて副鼻腔をふさいでしまって鼻つまりがある場合は、 内視鏡的に光ファイバー鼻咽頭鏡を使ってポリープ切除術を行いますが術後もステロイドの鼻スプレーを続ける必要があります。

Nasal polyps 鼻ポリープ

Inverted papilloma of sinuses スッキャン乳頭腫

CT Scan (Nasal polyp)副鼻腔CT


鼻咽頭癌

鼻咽頭癌は香港癌登録記録にとると40歳−50歳が最も発症しやすく、鼻咽頭癌の死亡率は上位10種類の癌のうち7番目にランクしている。

鼻咽頭癌は中国南部の男性に多く、特に広東人に発症しやすいと言われていて、“広東癌”とも呼ばれています。鼻咽頭癌の発症の原因は食生活にあるとも言われています。例えば大量の塩を使った塩魚、燻製サーモンなど。よって鼻咽頭癌は子孫が漁師の人によく発見されます。その他喫煙者や家族歴や伝染性単核症の原因となるEVウイルス感染などが鼻咽頭癌の発症に関与しています。

人によって鼻咽頭癌は鼻血や耳鳴りや喉と鼻から血の分泌物が出るなど間違った考えをしている患者さんがよくいますが一般的には首のリンパ節の腫脹、片方の耳がこもった感じ、聴覚障害などの症状が見られます。。発見が遅い場合は脳神経の損傷や転移を引き起こします。

鼻咽頭癌の症状

  • 首の腫瘍
  • 聴覚障害
  • 耳鳴り
  • 鼻づまり
  • 鼻血
  • 喉と鼻の血が混じった分泌物
  • 鼻水が喉に落ちる(後鼻漏)
  • 嚥下障害

上咽頭癌の診断をするためにいろいろな検査が必要になります。鼻咽頭鏡検査で組織生検を行います。診断名がわかった後はCTスキャンとMRIをして腫瘍の周りの組織の相関関係を見て癌の進行度を調べます。

放射線治療が主な治療法ですが、場合によっては標的薬物と併用して行う化学療法も適用することもあります。治療方法は病状の進行具合によって異なります。

患者の80%は完治しますが放射線治療や化学療法に効果がなかった患者や再発、口蓋—上顎—頸部への転移や頸部—下顎骨—口蓋の転移の場合は手術が必要となります。

 鼻咽頭癌

鼻咽頭癌

中耳に液体が詰まった

EBウイルス


アレルギー性鼻炎

下鼻甲介肥大

アレルギー性鼻炎はよくある症状です。香港人学生の40%がアレルギー性鼻炎です。アレルギー性鼻炎の症状は

  • 鼻水
  • くしゃみ
  • 鼻づまり
  • 鼻のかゆみなど

アレルギー性鼻炎のひどい人は副鼻腔炎を引き越します。

アレルギー性鼻炎の方は常に家は清潔を保ち。カーテンやベットシーツなどはこまめに洗いましょう。家ダニによるアレルギーの原因となる抗原(アレルゲン)を減らすことができますのでダニが発生しやすいカーペットやぬいぐるみなどは避けましょう。家ダニのアレルギーがある人には効果的です。

薬の処方はステロイド点鼻スプレーを使用する場合などは2週間ぐらいで薬の効果が出てきますので、医師に相談の上正しい薬の使い方をしましょう。下鼻甲介肥大や気道閉塞の人は手術が必要になります。

口蓋扁桃炎

扁桃は口の奥の両側のリンパ組織で、扁桃は細菌やウイルスから身体をを守る免疫の役割を持っています。細菌やウイルスが口から侵入すると免疫の記憶が働いて細菌やウイルスを認識します。再び侵入すると扁桃は免疫反応が衝撃して次第に弱くなると細菌やウイルスは扁桃窩洞に隠れていて増殖して扁桃を攻撃し口蓋扁桃炎を起こします。

口蓋扁桃炎の症状は

  • 高熱
  • 喉の痛み
  • 頭痛
  • 扁桃が腫れて飲み込みが困難

細菌感染の口蓋扁桃炎の場合抗生物質の内服の治療をします。症状がひどくなって48時間以上症状が続いたり扁桃に膿瘍ができた場合は、切開して膿を出す必要があります。又症状が悪化して感染がひどくなると頸部のリンパに広がって腫れや痛みの症状が起こります。

何度も感染を繰り返したり、日常生活や仕事に影響がある場合は扁桃摘出術を行います。

めまい

めまいは様々な原因で起きます。フラフラしためまいや内耳機能問題でバランスを崩したり、前庭神経炎、菅結石症(良性発作性頭位めまい症)やメニエール病など。病気の種類によっては、めまい以外にいろいろな症状がみられる。

下鼻甲介肥大

前庭神経炎

ウイルス感染が内耳に感染しバランスを崩し嘔吐を伴い浮動感や回転性めまいの症状が起きる。

菅結石症(良性発作性頭位めまい症)

耳石が剥がれて内耳の骨半規管に入ってめまいが起こる。ベットから起き上がった時や寝が入りをした時に浮動性めまいが起きる。耳石を元の位置に直す改善するがメニエール病が原因の場合もある。

メニエール病は内耳を満たしている内リンパ液が過剰になるとめまいが起きる。突然の耳鳴り難聴やめまい。このような症状は何時間から一日中続き少しずつ良くなる。

メニエール病は40%から50%は40歳以上の女性に多く両耳に発症する。完治は難しいので禁煙、禁酒カフェインを減らして楽しい生活を過ごし再発しないようにする。浮動性めまいの症状は抗めまい剤の内服か注射で横になって休養する。嘔吐止まらない場合は静脈から水分補給をしたりして症状を和らげていきます。

過去には、症状がかなりひどい場合は切開して内耳のリンパ液を出したりバランスの神経を除去したりしたが術後に聴覚障害や顔面神経麻痺障の合併症のリスクが高い。研究によっては神経損傷の内耳部分に抗生剤を投与してバランス機能を改善させる治療もあるが手術前に患者に医師がリスクの説明を兼ねて手術をする必要がある。他の方法では鼓膜にチューブを納入して機械を用いて圧をかけて血液循環をよくする方法もあるが効果のある治療は未だ見つかっていないので今まだ研究は続いています。

特別な音声障害

片側声帯ヒダ麻痺

片側声帯ヒダ麻痺は喉頭神神経の損傷の再発にとって起こります。損傷には

  • 頭部や首の外傷
  • ウイルス感染
  • 放射線治療後の後遺症
  • 甲状腺や頭部や首の手術の合併症
  • 一部の症例によっては片側声帯ヒダ麻痺の原因がわからないこともある

片側声帯ヒダ麻痺のほとんどの人は話し声が呼吸音の混じった話し方をします。言葉発するのにかなりの努力が必要。声帯の機能不全で物を飲み込むのが困難になったり飲み物や食べ物が気管に入ってしまうと誤嚥性肺炎を発症します。

正中固定術はシリコンやゴアテックスを移植して治療をすることによって嚥下障害や発声障害を改善することができます。

片側声帯ヒダ麻痺のほとんどの人は話し声が呼吸音の混じった話し方をします。言葉発するのにかなりの努力が必要。声帯の機能不全で物を飲み込むのが困難になったり飲み物や食べ物が気管に入ってしまうと誤嚥性肺炎を発症します。

正中固定術はシリコンやゴアテックスを移植して治療をすることによって嚥下障害や発声障害を改善することができます。

喉頭乳頭腫

喉頭乳頭腫はヒトパピローマウイルス6型と11型の関与が明らかになった。ウイルスは喉頭の粘膜上皮直下に潜んで増殖して良性の腫瘍に移行していく。口蓋垂や喉頭声帯部分に発症しやすいが、上気道全体にも発症する場合もある。

80%の喉頭乳頭腫の患者は2−3歳で症状が始まっています。残りは20−40歳の男性に発症します。症状は声が枯れる。ひどくなると呼吸困難を引き起こす。乳頭腫は簡単に再発しますの気道の閉塞などがある場合は何回も手術をする患者もいます。

一定の子供は成熟免疫機能で乳頭腫が萎縮することもある。。しかしながら大人の方が子供に比べて治癒率が低い。ここ数年で乳頭腫が大きくならないように新しい抗ウイルス剤が出て来ているが効能のほどはまだ研究がおこなわれている。

接触性肉芽腫(特発性喉頭肉芽種)

  • 3つに分類され以下の患者によく見つかる
  • 全身麻酔で挿管チューブを使った場合。
  • 逆流性喉頭炎
  • 声を張り上げすぎる。

接触性肉芽腫で悩んでいる方は、咳の後血痰が出たり、嗄声(しわがれ声)になったり大きな接触性肉芽腫の場合は悪性喉頭腫瘍に似ているので、正しい診断をつけるために組織生検の検査が必要です。

喉頭癌と前癌の病変

喉頭癌の症状は嗄声(しゃがれ声)が特徴的です。4週間以上嗄声が続くようであれば

喉頭癌の疑いが高いので早急に医師に相談しましょう。

喉頭癌を早期発見できなくて進行すると腫瘍が大きくなったり、呼吸困難を引き起こします。癌細胞が食道、舌、喉頭組織に侵入している場合は嚥下障害が起こります。さらに癌細胞が首のリンパなどに転移している場合はリンパが腫れます。喉頭を保存したい場合は早期発見で治療できるますので定期的に検査をしましょう。

喉頭癌1期と2期

初期段階の場合は喉頭機能を保存するため放射線治療を行います。生存率は高いです。

初期段階の喉頭癌には状態によってはレザー治療が適用な場合もあります。この治療法の生存率も高いです。

喉頭癌3期と4期

手術の場合は補助的放射線療法をするしないに関わらず腫瘍全摘術を行います。声が出る重要臓器を取り除きますので、術後は言語のリハビリテーションを行い声の出し方を練習します。

医療器具も進んでいるので患者さんよっては放射線と抗がん剤治療を選ばれる方もいます。

ゴアテックス

両側声帯ヒダ(声帯)麻痺

声帯ポリープ

声帯小結節

声帯嚢胞

内視鏡術の器具

特発性喉頭肉芽種

声門癌

声門下部癌

扁桃肥大

口蓋垂肥大


いびきと睡眠時無呼吸

いびき

寝ている時は、舌、軟口蓋や喉頭の筋肉がリラックスしている状態なので上気道が狭くなる。上気道に空気が入いると筋肉が振動していびきを起こす。信じられないほどのいびきがひどいと、家族や交際相手にも影響が出てくる。

気道がかなり狭いといびき以外に無呼吸が発生します。無呼吸が1時間に5回以上10秒以上続く場合は睡眠時無呼吸と診断します。

睡眠時無呼吸

ポリソムノグラフィ検査

閉塞型無呼吸症候群の場合は寝ている間呼吸が困難のため何度も起きる心肺機能に負担がかかります。ひどい症状になると無呼吸のために100回ぐらい起きる。

何回も起きるせいで日中に眠気、慢性疲労感などの症状が現れます。また閉塞性無呼吸が長く続くと高血圧や脳梗塞や心臓病の合併症を引き起こします。

患者は直ちに体重を落とし寝ている間は“CPAP” 経鼻的持続的陽圧呼吸法装置を使うことによって、呼吸がしやすくよく眠れるようになります。それでも改善されない場合は手術になります。

最近では無呼吸症候群の人に高周波数を使って手術をしています。

細い針を挿入して肥大した上気道組織(口顎、扁桃,舌、下鼻甲介)に熱80度程度の低電流高周波を流して組織を凝固することによって閉塞無呼吸がなくなり呼吸しやすくなります。

高周波治療はいびきだけに問題がある人に効果が見られます。軽度の無呼吸や口顎肥大の人には口蓋垂形成術をお勧めします。

中度の無呼吸の人には複雑な口蓋垂口蓋咽頭形成術が治療の選択になります。

睡眠プリグラフィ検査

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